【書籍レビュー】株式投資の未来

eye catch image 書籍紹介

こんにちは、アキヒロです。

ジュレミー・シーゲル氏の「株式投資の未来(日経BP社)」という本を読みましたので、簡単ですが、レビューを書きたいと思います。

2005年に書かれた本ですので、少し古いのですが、株式投資、特に銘柄選定やポートフォリを考えていく上でとても本質的な内容を伝えていますので、現在でも十分読むに値する1冊ではないかと思います。

本書では、次の2つの疑問が起点となっています。

  • 買い持ちするなら、具体的に、どの銘柄を買えばいいだろう?
  • ベビーブーマ世代が退職して、株や債券を売りはじめたら、わたしの株や債券はどうなる?
買い持ちするなら、具体的に、どの銘柄を買えばいいだろう?

1つ目の問いに対し、まず「成長の罠」について指摘をしています。

一般的なイメージとして、成長率の高い企業、業界、国、これらへの投資が高いリターンを生むと思われがちですが、過去の歴史を振り返ってみると、必ずしもそうはなってはおらず、むしろS&P500のようなインデックスのリターンを下回っていたり、逆に、成長が鈍化した古い企業や規模が縮小している業界でも、インデックスのリターンを上回っているケースがあることを、具体例を挙げて説明しています。

その理由として、リターンは企業の増益率で決まるのではなく、「企業の増益率と、投資家が期待する成長率の格差で決まる」ということを伝えています。

つまり、投資家の期待値が高いということは株価が上がっているということですので、株式の取得株価が高くなれば、いくら増益率が高くても思ったようなリターンは得られないという話です。

したがって、本書でも教訓の第一としてバリュエーションが挙げられています。

余談ですが、ドナルド・ヤックマンというファンドマネージャーは、「ハードルレート(期待収益率の下限)」を設定し、そのレートを下回る利回りのものは、それがどれほど注目されている銘柄であったとしてもファンドには組み入れず、高い利回りが予想される株のみでポートフォリオを構築したことで、長期的に高い収益率を維持しているそうです。

また、本書では、配当の重要性についても言及しており、長期投資において配当を再投資することを前提にするなら、配当は下落相場においてプロテクター(安全装置)となり、上昇相場においてはアクセルになると説明しています。

どういうことかというと、下落相場では株価が下がっていますので、配当を再投資する際により多くの株式を取得することができ、上昇相場になれば、保有株数が増えた分だけより多くのリターンを得ることができるということです。

こうしたポイントを整理しつつ、具体的な銘柄としては、フィリップ・モリスをはじめとする消費者ブランドをもつ生活必需品メーカーや、ファイザーといった大衆薬を扱う医薬品会社が、過去の運用成績(リターン)において上位を占めていることが示されています。

ベビーブーマ世代が退職して、株や債券を売りはじめたら、わたしの株や債券はどうなる?

2つ目の問いは、人口の多い世代が老後に入り、資産の売却が進めば、株や債券の資産価格が下がっていくのではないか、という懸念です。

結論としては、中国やインドを中心とする新興国の発展により、彼らが資産の買い手となることで、資産価値は保たれるとしています。

考察の過程では、出生率や高齢化等による人口動態の変化や退職年齢、社会保障制度等に触れ、よく言われるような生産性の向上や税金の引き上げ、移民等の対応策、また、途上国のポテンシャルや通信革命などについて思索が行われており、特に若い方、20〜40代、あと40年、50年と投資を続けていかれる方にとっては、頭の体操になるような話ではないかと思います。

最後に、ではどういった銘柄に投資していけば良いのか、それまでの考察をまとめる形でポートフォリオ戦略が整理されています。

所感

個人的には、本書を通じて、配当に対する考え方が変わりましたので、読んだ甲斐がありました。

バフェット関連の本を読んでいる方のなかには、配当には二重課税の問題があるため、自社株買いの方が良いのではと思われている方もいらっしゃるかも知れませんが(アキヒロもその一人でした)、本書では、バフェットの考え方についても触れ、その正しさを認めた上で、配当の重要性が説明されていますので、読んで混乱することもなく、配当や自社株買い、設備投資など、利益の使途についても理解が深められる1冊かと思います。

ちなみに、本書ではバリュエーションが大切と書かれていますが、バリュエーションの具体的な方法についての説明はありませんので、念のため。

株式のバリュエーションについて知りたいという方は、「バフェットの銘柄選択術」という本に期待収益率の計算方法が載っていますので、参考にされるのも良いかと思います。

【書籍レビュー】バフェットの銘柄選択術
投資関連書籍レビュー「バフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞社) メアリー・バフェット、デビッド・クラーク[著] 井出正介、中熊靖和[訳]

また、当ブログでも株価分析について説明をしていますので、ご一読いただければ嬉しいです。

【個別株の選定方法】投資収益を高める株価分析について解説
株式投資で収益性を高めるために不可欠な株価分析について、「一株価値の算定」、「BPS及びEPS成長率に基づく期待収益率、及び取得妥当価格の計算」、「PER、PBR、Earning Yieldの分析」の3つの方法を紹介

 

今回は以上です。

ご参考になれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました