分散投資の分散効果について検証してみた

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こんにちは、アキヒロです。

『すべての卵を一つのカゴに盛るな』

投資をされている方は聞いたことがある格言ではないかと思いますが、例えば、気に入ったからと1つの企業に集中して投資を行い、万一、不測の事態が起こって、その企業の業績が悪化してしまったり、最悪、倒産してしまった場合、非常に大きな損失を被ってしまうリスクがあります。

そのため、リターンを追求する一方で、資産を保全するためにある程度投資を分散し、リスクを軽減する必要があります。このリターンとリスクのバランスをどうとるか、これがポートフォリオの考え方になってきます。

そこで今回は、株式投資をする場合、一体何社くらいに分散すれば良いのかを考えてみたいと思います。

もちろん、分散投資をする場合、株式に限らず、債券や外貨も選択肢としてはあっても良いと思いますが、今回は個別株で分散するケースについてお伝えします。

分散は12〜16銘柄で十分

結論から言えば、「12〜16銘柄に分散すれば十分に分散効果は得られる」と言えます。

以下のグラフは、10組の個別銘柄の組合せの銘柄数を増やしていったときの収益率の標準偏差の推移を示しています。


標準偏差は、データのばらつきの度合いを示す値で、データが平均値の周りに集中していれば小さくなり、平均値から広がっていれば大きくなります。

つまり、上のグラフは、4銘柄から8、12、16と銘柄数が増えるほど、収益率のばらつきは抑えられ、平準化されていくということを示しています。

さらに、4銘柄から8銘柄に増やした際には標準偏差は大きく下がっていますが、16銘柄から20銘柄に増やしてもそれほど標準偏差は下がっていないことがわかります。要するに、少ない銘柄数の場合の方が、銘柄数を増やした際の分散効果は大きいということが言えます。

 

もう少し今回のシミュレーションの内容を説明すると、個別銘柄の組合せを10組、Group 1〜Group 10として作りました。各Groupは、それぞれ米国株のティッカーでA〜Jで始まる企業になります。Group 1はティッカーがAから始まるグループで、Group 2はティッカーがBから始まるグループといった具合です。そして、A〜Jで検索したリストの先頭から4社、8社、12社ととっていく形でグループを作りました。

また収益率は、分散する銘柄に均等に投資をする前提で、2009年1月に買って、2018年12月に売った場合のリターンとしました。

その結果が以下の表になります。

表を見て頂くとわかるとおり、Group 1のリターンが突出しています。

これは、Group 1をティッカーがAから始まる組合せで作ったため、アップルやアマゾン、アドビといった、株価が10倍以上に値上がりした銘柄が複数含まれてしまったことによります。

意図的でない形で組合せを作るために、単純にティッカーの順に選んでいったのですが、若干Group 1が特異な組み合わせになってしまいましたので、念のため、Group 1を除いたGroup 2〜Group 10の標準偏差を計算してみました。

その結果が次のグラフになります。

大きな特徴は最初のグラフ1と同じで、銘柄数が増えると標準偏差は下がってきます。また、下げ幅も4銘柄から8銘柄に増やしたところが一番大きくなっています。

ただ、グラフ1とは異なり、16銘柄から20銘柄に増やした際に、標準偏差が若干増えてしまっています。つまり、Group1のような特異な組合せを除くと、16銘柄の時点で標準偏差は収束する、収益率は平準化されると見なすことができるのではないかと思います。

簡単な検証ですので厳密さには欠けるかも知れませんが、今回のシミュレーションの結果から、無作為に銘柄を選んだ場合でも、12〜16銘柄に分散すれば収益率は平準化されていく、つまり、12〜16銘柄に分散させれば、分散効果は十分に得られるということが言えるかと思います。

まとめ

  • 個別銘柄を分散する場合は、12〜16銘柄で十分

16銘柄以上は、数を増やしても分散効果が薄くなる上、保有株に目が行き届かない、また売買手数料がかさむなど、デメリットの方が大きくなってしまう可能性もありますので注意が必要です。

逆に、しっかりと優良銘柄を厳選し、高いパフォーマンスを目指す場合は、分散させ過ぎると収益率が低下する恐れもありますので、8銘柄程度の分散でも良いかも知れません。

また、個別株に分散投資する際には、業種を分散させる、また株を買うタイミングを分散させるといったことも、併せて意識していって頂けると良いかと思います。

今回は以上です。

ご参考になれば幸いです。

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