バフェット指数にみる日本市場の展望

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こんにちは、アキヒロです。

株式投資と言えば日本株という方も多いかも知れませんが、大切なお金をどういった市場に投じているのか、知っておくことが大切かと思いますので、今回は改めて、日本市場について考えてみたいと思います。

まずはこれまでの株価の推移を確認

以下のグラフは、日本の株式市場の代表的な指標の1つである日経平均株価の推移を示しています。

Yahoo! Financeのデータを基に作成

見て頂くとわかるとおり、バブル期に急騰し、1989年に最高値をつけて、バブル崩壊とともに下落。90年代はしばらく横ばいで保っていたものの、ITバブル崩壊の影響で再度下落し、10,000円を割り込んで、少し回復してきたと思ったら、またリーマンショックで下落。その後、アベノミクスで20,000円を超えるところまで回復してきた、といった感じの流れです。

1989年の最高値が38,915円87銭で、現在(2019年4月24日時点)、22,200円あたりを推移していますので、往時の6割弱の水準ということになります。

最高値をつけてから30年が経ちますが、いまだに高値更新できていない状況ですので、株式市場に限っては、平成の30年は、まさに失われた30年ということなのかも知れません。

日本経済の実態と今後の株価見通し

続いて、バフェット指数という指標を見てみたいと思います。

これは、米国の著名投資家ウォーレン・バフェットが市場の過熱感を見るのに使っている(と言われている)指標です。バフェット指数は、上場企業の株式時価総額/名目GDP×100 で計算されます。

株価は投資家の期待で、GDPは企業の生産高を示す事実ですので、経済の実態に対して、投資家の期待が大きいのか、小さくなっているのかを見ることができます。

また、この指標が示していることは、株式時価総額と名目GDPの間には相関があると言うことです。これは、米国市場を見てもらった方が視覚的にわかりやすいですが、株式時価総額は名目GDPの周りを揺らいでいる、株価はジグザグしながらGDPを追いかけているように見えます。

出典:gurufocus

つまり、バフェット指数が伝えていることは、長期的に見れば、株式時価総額の推移は名目GDPの推移に近似するということです。これが正しいなら、GDPの推移を見ることが、市場の見通しを知るための1つの手掛かりと言うことができるかと思います。

では、実際に日本の名目GDPの推移を見てみましょう。

出典:世界のネタ帳

ざっくり見て90年代以降は大きく上昇しておらず、横ばいに見えます。

近年の動向について、リーマンショック後、2011年の落ち込みから、アベノミクスで実際どれくらい成長してきたのか、数字を見てみたいと思います。

  • 2011年の名目GDP:約491兆円
  • 2018年の名目GDP:約557兆円(推定値)

2011年から2018年の7年間で約66兆円増えていることになりますが、これを年間の平均成長率で見てみると約1%になります。この数字をどう見るかは、もちろん人それぞれかと思いますが、これが、比較的世界経済が堅調な環境において、日本経済が示したパフォーマンスの実態ということになります。

したがって、長期的に、株式時価総額の推移が名目GDPの推移に近似するということが正しいとすると、日本経済のパフォーマンスが上がらない限り、株価も横ばい〜微増というのが現実的なところと見ることができるかと思います。

以下のグラフは、日本のバフェット指数の推移です。

出典:日経平均株価AI予想

バフェット指数は100%を超える(つまり、投資家の期待が経済の実態を上回る)と要警戒と言われますが、1989年の最高値をつけた際はバフェット指数が140%を超えていましたので、明らかに期待が先行し過ぎていた状況であったと言えます。

その後は、平成不況のなかで楽観ムードは消えて、100%を超えない(投資家の期待が経済の実態を上回らない)期間が長く続きましたが、2016年頃からまた100%を超えて推移しています。

つまり、バフェット指数から見ると(2019年4月時点で)すでに過熱気味の水準にあるということで、今後、大きく上げて、日経平均株価が30,000円や最高値を超えて40,000円になるということは、ゼロではないかもしれませんが、可能性としては極めて低いということが言えるのではないかと思います。

日本市場への投資は?

これまでの話から日本市場全体の展望はあまり明るくなさそうですが、投資の観点から見れば、短期〜中期的な投資であれば、ボラティリティさえあれば利益は出せますし、長期投資も、個別株であれば優秀な企業は存在しますので、しっかりと銘柄選択ができれば可能かと思います。

他方、市場全体に投資するようなインデックスを長期的に保有するというのは、経済の現状を見る限りはあまりオススメできる投資ではないかも知れません。

バイ&ホールドの長期投資をされる方については、米国市場や他の成長性のある市場なども視野に、選択肢を広げていかれるのも1つかと思います。

今回は以上です。

ご参考になれば幸いです。

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