こんにちは、アキヒロです。
長期投資をする際の個別株の選定方法について、こちらの記事(個別株の選定方法)で次の4つのステップをご紹介しました。
- スクリーニング: 数千社のなかから分析対象とする企業をざっくり選別する
- 財務分析: 財務諸表から定量的に優良な企業を選別する
- 事業分析: 優位性(堀)のある事業を行なっている企業を選別する
- 株価分析: 株式を取得する際の目安となる価格帯に目処をつける
さらに第2ステップの財務分析については、「財務状況の分析」、「収益力(構造)の分析」、「成長性の見通し」の3つに分けて説明しています。
今回は財務分析の3つ目、「成長性の見通し」について見ていきたいと思います。
「成長性の見通し」の分析のポイントは以下のとおりです。
- 過去の成長率の実績の確認(各利益やESP、BPS、総資産など)
- 経営陣の資本分配能力の確認
過去の成長率の実績
まずは過去の成長率の実績として、5年〜10年程度の中長期的にどの程度成長しているのか、確認していきます。
ただ、成長率といっても様々な利益や指標がありますので、すべてを確認しようと思うと指標の数が多くなり見難くなりますし、扱い難くなりますので、狙いをもって、どの指標の変化を見るべきか整理しておいた方が良いかと思います。アキヒロの場合は、主に以下の成長率を確認しています。
- 売上高成長率
- 営業利益成長率
- 純利益成長率
- ESP成長率
- FCF成長率
- 総資産成長率
- BPS成長率
見方としては、5年前や10年前の数字を基準(100)として、どのような伸び方をしているのか推移を見ていきます。1つ1つの指標の推移や成長率を単純に見ていくことも大切ですが、各指標の関係性から見るべきポイントもありますので、いくつかご紹介します。
売上高の成長率と営業利益の成長率の乖離
営業利益の成長率の方が高い場合:コスト削減が進み、効率化されている
営業利益の成長率の方が低い場合:売上を伸ばすためにより多くの費用がかかり、効率が悪化している
純利益の成長率とEPSの成長率の乖離
純利益に対してEPSの成長率が高い場合:積極的な自社株買いの影響、EPSが伸びていても純利益が増加していない場合は要注意
純利益の成長率と総資産の成長率の乖離
純利益に対して総資産の成長率が高い場合:不良債権や不良在庫など、利益化できない資産が積み上がっている可能性に注意
加えて、過去10年、5年、3年の年平均成長率を計算していきます。
短期の成長率は「現経営陣」の能力に依存、長期の成長率はより「企業本来」の能力に近似する、ということも意識しておくと良いかもしれません。
また、不況時の状況も確認できれば、どれくらい耐久性のあるビジネスモデルなのか、わかりますので、例えば、リーマンショック前後の推移を見ておくのも良いかと思います。
ちなみに年の平均成長率の計算は以下の数式になりますので、必要に応じて参考にされてください。
n年間の純利益の年平均成長率を計算する場合:

経営陣の資本分配能力
続いて、経営陣の資本分配能力について、厳密に測定することは難しいですが、事業で得られた利益をどの程度効率的に活用しているか、ざっくりとですが確認するために、3年、5年、10年といった形で期間を区切って、その期間内に投下された資本でどれだけ利益を伸ばすことができたかを見ていきましょう。
例えば、次のように計算してみると良いかと思います。

3年で見る場合はnに3を、5年や10年の場合は、それぞれnに5や10を入れて計算します。
仮に3年、5年、10年で計算してみて資本の運用効率が下がってきているようであれば、効果的でない投資がなかったか、また、大きな設備投資や買収をして収益が見込まれるのは数年後であるため、一時的に効率が下がって見えているだけなのかなど、背景を確認しておくと良いかと思います。
経営陣の資本分配能力は、手元の資本を利用して如何にお金を稼ぐか、その上手さを示すものですので、近い将来の収益性を考える上で、重要なファクターになります。
また、事業への投資よりも配当や自社株買いが多い場合は、収益拡大に向けて優良な資本分配先がなく、経営陣がビジネスの拡大に行き詰まっていることを示している可能性もありますので、配当性向や自社株買いなど、利益の使途についても、併せて確認しておくと良いかと思います。
3つの記事で説明してきた財務分析も今回で最後です。
完璧とまでは言わないまでも、こうした分析を通じて、その企業の財務状況をある程度把握することができます。その上で、堅実な経営をされている企業を厳選していけば、大きなハズレくじを引く可能性は低くなるかと思いますので、ご自身の目でしっかりと実態を把握した上で、投資判断をしていって頂ければと思います。
今回は以上です。
ご参考になれば幸いです。