【株価分析】PER、PBR、Earnings Yieldを見る視点

eye catch image 個別株の選定方法

こんにちは、アキヒロです。

「株価分析について考える」という記事で、株価の割高・割安を判断する材料として、次の3つの分析項目を紹介しました。

  • 一株価値の算定
  • BPS及びEPS成長率に基づく期待収益率、及び取得妥当価格の計算
  • PER、PBR、Earning Yieldの分析

今回はその分析項目の3つ目、「PER、PBR、Earning Yieldの分析」について解説していきたいと思います。

PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)

まずPERです。

PERは、Price Earnings Ratio(株価収益率)の略で、時価総額を当期純利益で割る、または、株価を一株あたり純利益で割ることで算出されます。

一般的には、同業他社との比較や、その企業のPERの過去のレンジから現在の株価が比較的高いのか低いのかを判断する形で使われています。

また、PERはP(Price:株価)とE(Earnings:純利益)から構成されていますので、もう少し掘り下げてPERの状態を見るために、このPとEの推移を分けて見てみることも意味があることかと思います。

見方としては、Pの伸びがEを追いかけているのか、Eの伸びをPが追いかけているのか、がポイントになります。

Pの伸びをEが追いかけている場合、株価(市場の期待)を利益(現実)が追いかけているということですので、期待が先行している状態であるため、期待どおりの利益が出なかった時には株価が下落する可能性があります。

下図は基準年を1として、株価と純利益がそれぞれどれだけ伸びているのかを示したイメージです。

図のように株価の伸びが純利益の伸びに優っている場合は、PをEが追いかけている状態と見ることができるかと思います。

他方、Eの伸びをPが追いかけている場合、それは、利益(現実)を株価(市場の評価)が追いかけているわけですので、株価が現実の利益に見合ったところまで上昇していく可能性は大いにあると言えます。

下の図は、基準年を1として、Eの伸びをPが追いかけているイメージです。

PERの数字そのものも、もちろん大切ですが、PERの推移、またそのPERを構成するPとEの推移を併せてみることで、より多くのことがわかりますので、参考にして頂ければと思います。

なお、PERについては以下のような注意点もありますので、ご留意いただければと思います。

  • 純利益が分母にきますので、もし純利益が少なく、0に近い値の場合、PERが非常に大きな数値になってしまう、また純利益がマイナスの場合は、PERがマイナスになってしまう
  • 純利益は比較的操作されやすい数字である

対策として、純利益が小さい場合は、P/L(損益計算書)の各利益、コストの割合が比較的安定しているのであれば、株価を売上高で割ったPSR(Price Sales Ratio)などを使って代用するのも1つです。

売上高であれば、PERが異常に大きくなることはあまりないでしょうし、マイナスになるということもありません。

また、純利益の操作の可能性については、純利益の代わりに営業キャッシュフローを使ったPCFR(Price Cash Flow Ratio)とPERを比較し、大きな乖離がないかどうか見ることで確認することができます。

※ただし、“PCFRとPERに乖離=利益操作”ではなく、減価償却費が影響している可能性もありますので確認が必要です。

PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)

続いて、PBRです。

こちらもPER同様、株価の割高・割安の判断材料として一般的によく利用されている指標です。PBRは、Price Book-value Ratio(株価純資産倍率)の略で、時価総額を純資産で割る、もしくは、株価を一株あたり純資産で割って算出されます。

PERは利益と株価の関係でしたが、PBRは資産と株価の関係になります。

PBRが1であれば、株価と一株あたり純資産が等しいことになりますので、その時点で企業が解散した場合は、株主にはその投資額がそのまま返ってくることになります。

通常は、帳簿上に出てこないブランド価値なども考慮されて1以上に評価になりますが、PBRが1を割っている企業も存在します。

PBRが1を割っているということは、理論上/帳簿上は、その時点で解散すれば、株主には投資した以上の金額が返ってくるため、一見お得なように思えますが、業績が悪化していたり、不良資産を抱えているような企業もあり、帳簿どおりの金額で清算できるとは限らないため、PBRだけで判断するのは危険です。

財務状況を確認して、本当の掘り出し物か、ただの問題企業か、を見極める必要があります。

また、買収でのれん代が膨らみ、帳簿上の数字が大きくなっているケースもありますので、その場合は、のれん代を引いた上でPBRを計算した方が実態に近くなります。

PBRについても、PER同様、PとBに分解して推移を見てみると、単純にPBRの数字を見る以上のものが見えてきますので、試してみてください。

Earnings Yield(株式益回り)

最後にEarnings Yieldですが、これはPERの逆数で、利回りを表します。

逆数とは分母と分子を入れ替えた値です。

つまり、投資したお金がどれだけの利益を生むのかという、投資額に対する利益率を示しており、例えば、これがリスクフリーとされる米国債よりも低い、または同程度、ということであれば、わざわざリスクをとって投資する意味がないことになりますので、現在株価が投資するに魅力的な価格帯であるのか、検討を行う1つの参考になるかと思います。

まとめ

  • 株の割高感・割安感の判断にPER、PBR、Earnings Yieldを活用しよう
  • PERとPBRは、PとE、またPとBに分解してみると、さらに色んなことが見えてくる
  • Earnings Yieldをリスクフリー(米国債など)の利回りと比較してみよう

今回は以上です。

ご参考になれば幸いです。

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